タイトル: ツマグロヒョウモン増えています。
ランナー: 会員
吉田 真弓   さん 
    リレーせず独走しています。今回はチョウを育てた話です。
    6月の始め、花壇に恐ろしげな姿をした芋虫が沢山付いていて、一斉にパンジーの葉を食べていました。体は真っ黒で、背面に鮮やかなオレンジ色の太い線があり、全身赤いとげで覆われていました。刺されると痛い危険な虫のように見えたので、図鑑で調べたところ、毒は持たないツマグロヒョウモンというチョウの幼虫でした。幼虫だけでなくメスの成虫は、毒をもつスジグロカバマダラに似せて、無毒であっても敵に食べられないように工夫しています。また、幼虫はパンジーの葉を好んで食べるため、園芸ブームによりパンジーと共に日本全国に生息域を拡大しています。もともとは暖地性で、20年位前はいわきでなかなか見つけにくい存在だったそうですが、今や普通に見られるチョウです。
    早速、この幼虫を育ててみました。幼虫は脱皮を繰り返し、終齢幼虫までパンジーの葉を食べ続けます。私が育てていた幼虫も、パンジーを食べては緑色の大きな糞をして、どんどん成長しました。反面、食料となるパンジーは、花が終わったうえ葉も食べつくされ悲惨な姿になりました。2週間も飼育を続けると、金色に輝く10 本のとげを持つ蛹になり、それから1週間程で羽化です。鮮やかなオレンジ色の翅に、名前の通り豹のような紋をつけたオスが羽化しました。このとき羽化した5個体はすべてオスでしたが、時折ベランダのアサガオやゴーヤの蜜を吸いに訪れる成虫の中には、左右の翅の端が黒色で、そこに白い帯紋がありスジグロカバマダラと似た翅をもつメスもいました。
    ここからが昆虫のすごいところ。7月に入ると、葉がほとんどない枯れたパンジーに、あの一見恐ろしげな芋虫が再び出現していました。ツマグロヒョウモン二代目です。そこで二代目も育ててみました。餌となるパンジーが少なく食料不足を心配しましたが、二代目は一代目よりも短時間で蛹化、羽化を終了し、再び飛び立っていきました。今回はオス、メス1個体ずつ羽化しましたが、もう花壇にパンジーはありませんから、このあとは卵で年を越すのでしょうか?それともまた、三代目?どちらにしても、ツマグロヒョウモンは増える訳だと思いました。敵を欺く擬態という方法を身に着け、多くの花壇に植えられているパンジーを食料とし、気温が年々高くなっている日本なら一年に何度も羽化することが可能であり、全国各地で生育できます。
    久しぶりに、幼虫、蛹、成虫といった昆虫のいろいろな場面を見ることができて子どものようにわくわくしました。そして、昆虫の巧みな繁殖戦略を知ることができました。特定の昆虫のみを過剰に飼育することは、慎むべきだと思います。しかし、自然を知るためにも、特に子どもさんたちには昆虫を育てて、自然を見る目を養って欲しいと思っています。