タイトル: 街路樹と景観
ランナー: 会員
阿部 孝男   さん 
    テーマはなんでもいいからと言われ安易にリレーエッセイ原稿を引き受けてしまったが、さて何をテーマにしようかと思案したところ、地域環境と遠からず・・ということで“街路樹と景観”をテーマにしてみました。
    我々の日常的な景観の中に街中や郊外の街路樹がいたるところにあり、街中や郊外の道路沿いに緑があると見た目もいいし心安らぐことも確かである。
    しかし、植えられた樹木の立場になってみると、狭い植樹帯や狭い植樹桝に植えられ、両側は土木的に舗装の下の土を強度を得るためがっちり締め固められているのである。
    これでは道路の沿線に植えられた樹木はたまったものではない。樹木の生長の源である根っこが思うように伸びるはずもなく、樹木そのものの成長も制限されてしまうのである。たまたま条件が良く育ってしまうと、“根っこが歩道を持ち上げて歩きにくい”“視界が悪い”“電線に支障がある”“落ち葉の処理が大変”などの理由で変な剪定がなされたり伐採されてしまうのである。
    普段見慣れている街路景観もよく見てみると、本来大木となるはずのケヤキやクスノキ、イチョウなどが植えられてから数十年経ってもやせ細っている並木がいたるところにあり、また、大木となった樹木は本来の樹形をとどめていない。
    これは街路樹ばかりでなく、公園や緑地でも同じである。平の市街地中心部を東西約2km に亘る旧新川敷地(新川東緑地西緑地)は、市街地中心部にあって豊富な緑量を持った緑地空間を形成している。5年ぐらい前だったと思うが、再整備計画のために樹木調査を樹木医さんに依頼したところ、30 年ほど前に植えられた樹木は密集し過ぎ、被圧(密集した樹木同士が互いに圧迫しあうこと)を受けたり病気が多く、健全な生育をしている樹木は殆どなく、また、防犯上も決して好ましいものではなかったのである。
    外観は緑量豊かで非常に良い景観形成を成しているのだが、人間の身勝手なのだろうか、日本の国土の狭さ故なのだろうか、植えられた樹木達は非常に苦しんでいるのである。
    その後、新川緑地の樹木は健全化すべく半数以上を間引・剪定し、以前とはまた違った景観形成を成している。
整備前の新川西緑地 整備後の新川西緑地