タイトル: セグロセキレイ
ランナー: 伊藤 正義 さん  (福島工業高等専門学校教授・地域環境テクノセンター長)

   一昨年の7月6日(日付は妻のメモ)、勤務から帰宅すると妻が興奮気味に報告。なんと、ベランダのオランダ菊の鉢に小さな巣があり、卵が1個あるというではないか。我が家は公務員宿舎の4階で近くには大きな県立いわき公園があるところである。そういえば1週間ほど前から小鳥の往来が頻繁にあった。巣作りをしていたのである。翌日には2個に、その翌日には3個に、さらに翌日には4個に増えた。厚い図鑑を買ってきて調べたところ“セグロセキレイ”とわかった。親鳥のいない間に少しずつ部屋の近くに鉢をよせ、部屋の中からも覗けるようにした。以後は巣立つまで観察とカメラ撮影の毎日が続いた。天気予報で雨が降りそうであれば、雨にあたらないように鉢の位置を少しだけ移動した。親鳥を刺激しないようにベランダの植木の水遣り、洗濯干しにも気を配った。

   しかし、なかなか孵らず、もう駄目かと思ったが、7月21日、ついに4羽の雛が孵ったのである。親は交代で餌を運び、日に日に大きくなっていった。親のいない間にそっと覗くと4羽の雛は目を閉じて死んだふり??それが実に愛らしいのである。ツバメのように鳥の巣があると通常はフンで周りが汚れるものだが、セキレイは実に奇麗好き、フンを外に運び出していたのだろうと思う。


たまご

親鳥 (父)

   8月5日、大きくなったのでいつもよりも近くから写真を撮ろうと思い、菊の葉を寄せた瞬間、4羽は逃げるように飛び立ってしまった。母鳥が周りを探し、父鳥はベランダで我々を威嚇するように鳴く(セキレイは気が強い)。私もすぐに下まで降りて探したが見当たらない。カラスにやられるかもしれないと思うと、辛い、苦い夜であった。

   翌朝、買い込んであった望遠鏡を見ながら、向いの建物の屋上に元気な6羽の親子を発見!!安堵した。その後、親子はカラスとも戦いながら近辺を縄張りに、毎朝その姿を見せてくれた。今は世代も変わり(寿命は1〜2年らしい)、子なのか、孫なのか、嫁さんなのか、婿さんなのか、わからないが、3〜4羽が近くに居ついている。しかし昨年も、今年も我が家のベランダに巣作りはしていない。敵に襲われないように、場所も変えているのだろうと思っている。


孵った雛

死んだふり

   セキレイ君のおかげで、この2年の間に、いわき公園で、また県内の山々で、よく鳥が見え、聞こえるようになった。ヒヨドリ、メジロ、オオマシコ、ウミウ、スズメ、ツバメ、シロサギ、カワセミ、キジ、ウグイス、ウソ、ツグミ、カモ類(クロガモ・キンクロハジロ・マガモ・ホオジロガモ?)・・・・

 もうすぐ巣立つよ