タイトル: ゲンジボタル幼虫の飼育から
ランナー: 福島工業高等専門学校  原田正光 (会員)


  いわき市内郷高野地区で6月末に採取したゲンジボタルのメス数個体から産まれた幼虫を飼育している。ホタルの幼虫の飼育は私自身生まれて初めてであり,7月下旬に卵から孵化したときも,「これが本当にホタルの幼虫なのか?」と疑問に思うほどであった。
  100円ショップで購入した容器に現地から採取した水を張り,エアポンプで空気を吹き込みながらの水盤飼育であるが,幼虫が送気によって生じたちょっとした水流に流されることもしばしばであり,とても小さく軽いことに驚いている。現地で孵化した幼虫たちは,台風などで大雨が降り水流が生じたらアッという間に下流に流されてしまうのではないかと思うと,よどみや淵,礫や水草などの避難場所に隠れることができるかなど,現地の幼虫たちのことをつい心配してしまう。
  わが国では台風や秋雨は昔からあったわけで,そのような自然現象によってホタルの幼虫が一般的に条件の悪い下流に流されということも理由の一つで,ホタルのような昆虫類はたくさんの卵を産むという繁殖戦略が採用されているのだろう。
  しかし最近,梅雨前に台風の影響を受けたり,小春日和と台風が同居したり,異常とも思える気象現象が垣間見られるようになっており,地球温暖化との関連も報じられている。もし仮に,季節はずれの大雨の発生要因の一つに人為的なものがあるとすれば,それによって影響を受けるホタルの生活環境への人為的な補償はやはり考えないといけないのではないかという気持ちになってくる。洪水になっても,流されにくい水路環境を整備することなども一つの方策と言えるであろう。
  現在,これまで飼育してきたゲンジボタルの幼虫を,地域の小学生とともに本来の生まれ故郷となる予定だった内郷高野地区へ放流しようと準備している。洪水による初期死亡率を少しでも低くしようとする人為的に回避であり,ミチゲーションの一つである。
  放流後に台風が来ないことを是非祈りたい。


写真-1 ゲンジボタルの幼虫 写真-2 水苔の上のゲンジボタル