タイトル: いわきで自然を学ぶ
ランナー: いわき明星大学 佐々木秀明


  今春、研究室の学生らと塩屋崎の海岸に海藻の採集に出かけた。私は海藻を研究材料と しているため、季節を問わず頻繁に海に出かけるが、学生らは季節外れに訪れたのは初 めての様子であった。
  春の磯は様々な種類の海藻で色鮮やかである。海遊びをする頃の夏の磯は海藻が少ないため、このような色鮮やかな海の世界がある事はあまり知られていない。学生らは、海に実際に生育しているヒジキやコンブを見て、大はしゃぎであった。生きているヒジキやコンブを見たのは初めてであったようである。ある学生は、せっかくだからとヒジキやコンブをその場で食べていた。海の味がしたとの感想であった。
  海藻採集の目的は、学生の一人が教育実習での教材に使用するためであった。
  海藻は大きく緑藻、紅藻、褐藻に分ける事ができる。この3グループは含有する植物色素がそれぞれ異なるため、よく色素の分離実験に用いられる。
  実習にはそれぞれ1種類ずつあれば足りるが、自然豊かな塩屋崎では3グループで20種類ほど採集できた。
  学生の教育実習先は海に面した地域ではない。そのため、海藻を使った生物の実習は目新しく、好評であったようである。また、高校の先生方は、様々な色や形をした20種類の海藻そのものに興味がそそられたようである。
  私は、いわきに赴任する前は関西で生活を送っていた。海はあるが、そこは大阪湾、豊かな海を求めて電車やバスを乗り継ぎ、数時間をかけて海藻採集に行っていた。
  今は目前に豊かないわきの海が広がっている。いわきは、自然を学ぶには十分すぎるほどの土地である。都会では時間やお金をかけなければ得られないものが、そこにはある。机上ではない、実体験ができるこの土地で学生らには多くの事を学んでもらいたい。