平成31年の漠然とした不安

いわき地域環境科学会  会長  諸橋健一


    昨年は、いわき地域環境科学会創立30年の記念すべき年でした。「講演会」、本会初めての本「EQUAL BOOKS」の発行、会員が選んだ「いわきの環境科学遺産」の発表など記念事業を実施してまいりました。皆様のご協力、ご支援に深く感謝申し上げます。
    この30年を振り返ってみますと、創立時の昭和63年は、昭和から平成へと時代が移るときでした。今思うと、いわき地域が公害から環境へと転換する過渡期にあったような気がします。皆さんにとっての平成の年号と共に歩んできた30年はどうだったでしょうか。この平成の時代も、今年の4月30日で終りを迎えます。
    会報、会誌、会本を見てみますと、会員の環境に対する関心は、地球温暖化、自然エネルギーなどに向いているようです。いわき地域の環境については、特に問題はないようにみえます。しかし、漠然とした不安は残ります。例えば自然エネルギーについて。風力発電、太陽光発電施設を造ること、これは、大変結構なことと思います。しかし、地球環境への負荷が少ないとされる施設が地球環境に影響を及ぼしては、本末転倒もいいところ。現に、いわき市某所で太陽光発電施設の敷地の崩壊、土砂崩れが発生しています。いくら、再生可能エネルギーを名目にしても施設の建設などには、自然環境の改変がつきものです。今の不安は、適正な対応がなければ、将来必ず現実のものとなってきます。
    もう一つの漠然とした不安。それは、本会についてです。若い世代、現役世代の会員が少なくなってきていることです。若い世代の会員を増やせばいい。口で言うのは易しいけれど、行うは難し。一朝一夕に成せることではありません。そのためには、本会の体制、事業のあり方を大きく変え、本会を若者に魅力あるものにする必要があります。
    本会の目的は、環境に関する情報の交換を通して会員の学識の向上を図り、環境の質の向上を目指すというものです。なによりも環境情報と知識の共有がなければなりません。情報とは、もともと「敵情報告」のこと。敵は、私たち身のまわりすべてのこと、つまり環境です。
    情報は持っているだけでは役に立ちません。情報は使われてこそ生きてくるもの。情報を共有する協力体制が必要です。そのために、「ふぃーるど」「イクォール」「イクォールブックス」があるのです。会報、会誌、会本などで情報を表現することは、それを参考にしたり、引用したりして、さらに新しい価値を生み出すことに繋がります。環境は身の回りすべてのこと。広い視野でみないといけません。視野を広げていって、いろいろな分野のことを考えていくうちに突然繋がってくるものなのです。
    商業の極意は「今だけ」「ここだけ」「あなただけ」だそうです。情報提供のあり方も「今だけ」「環境科学会だけ」「会員だけ」という仕組みにしたらどうでしょうか。本会創立30年を契機に、本会を若い世代にとってわかりやすい会にしたいと考えます。