新しい歩みを踏み出そう

いわき地域環境科学会  会長  橋本孝一


   新年明けましておめでとうございます。今年の新年は、今までにない気持で迎えられた方が多いのではないでしょうか。昨年3月の大震災とそれに続く津波・原発事故では多くの方々が被災し、特に福島県に住む私たちは原発事故に伴う外部・内部被爆の脅威や風評被害に苦しめられています。
   当会の活動の重要な柱としてこれまで取り組んできた「自然観察会」や「子供発表会」等の主として屋外での活動を前提とした事業は、断念せざるを得ない状況に追い込まれました。
   しかし、震災後、いち早く今後の海岸部での自然体験に係わる観察会や小学生対象の学習場の安全性確保の観点から、日本財団の助成金を活用して、いわき海岸の砂浜の放射線量調査を継続的に進めると共に、津波による被害を抑制する効果が見られた海岸林の調査等を進めてきました。このような調査は、今後のいわきの環境を考えていく上で、貴重な資料になるものと思います。これらの調査結果については、昨年12月に中間発表という形で、公表したところです。当会としては、今後とも現地調査を継続し放射線量の推移を確認する必要があると思っております。
   当会では、これまでいわき地域の自然環境との係わりを主軸に「環境」を捉えてきました。しかし、それらの自然環境の質は、いわき地域の人々の生活内容に大きく影響され支えられていることは論を俟たないことと思います。今回の震災では、特に農林水産業等の第一次産業が壊滅的なダメージを受けました。いわきの森・川・海の自然を守り育てようとする時、その第一の担い手となる林業・農業・漁業をいかに支えていくかは、いわきの自然環境の回復を考える上で大切な視点になるものと思います。今後のいわき地域の環境、特に自然環境をどのように保全・充実させていけばよいのか、トータルな視点で考えていくことが求められてきています。そのような観点からも当会として何ができるかを改めて問い直しながら着実に歩みを進めて行きたいと思っております。
(2012.1.1)