いわき地域環境科学会  第22回  発表会  を開催しました


   2011年1月30日(土)午後1時30分〜5時、いわき市文化センター 大講義室にて当会恒例の第22回発表会を開催しました。当日は参加者約40名で、下記の研究成果や活動内容の発表が行われました。

   前半の自由テーマによる発表では、日頃簡易水質調査で使用している 「透視度計」 の精度に関する研究発表のほかに、当発表会では珍しく中学2年生の研究発表もありました。発表者の佐川睦実さんは、かつて当会の 「子供環境研究発表会」 でも表彰を受けました。ほとんどの小学生は中学生になると研究をやめてしまいますが、彼女はその後もいろいろな研究を続け、平成22年度野口英世賞賞最優秀賞を受賞しました。今回は、その内容を発表していただきました。
   また、福島高専の原田教授(当会副会長)からは、「子供環境研究発表会15年のあゆみ」 の発表がありました。

   後半は、「地域環境の保全活動」 という設定テーマで、当会を含め、いわき市内で環境保全を目的に活動している団体に発表していただきました。当会で2年連続で活動している 「永崎海岸浄化プロジェクト」 の内容やいわき市内の 「鳴き砂」 の現状、夏井川流域でいろいろな活動をしている団体などに日頃の成果を報告していただきました。

   また、発表会の中で、20周年記念事業として開始した 「残したい!地域の自然景観コンテスト」 の2010年表彰を行いました。今回で4回目でしたが、応募が少なく10景に届かず、5景の表彰 ・ 紹介となりました。



                 
会場には各ワーキングループの活動内容の紹介パネルも掲示しました



自由テーマ
(発表者敬称略)
① 水のにごり計測に関する検討

福島工業高等専門学校 建設環境工学科
鈴木 翔 ・ 原田正光

   近年、小中学校の環境学習や市民活動で水環境調査が盛んに行なわれている。これらの活動では、難しい水質分析を避けて誰にでもできる簡易な方法が採用されている。
   その中でもCODやリン酸などは、パックテストを用いて簡易かつ短時間で測れるが、数値の示す意義を理解するのは難しい。これに対して透視度は、水のにごりを計測するものなので、誰にでも理解しやすいという利点がある。
   しかし、透視度は水の概観を計測するものであり、よごれを把握するうえでは物足りないだけでなく、測定方法上にも課題がある。
   本研究では、測定方法上の課題検討の前段として、身近なサンプルを用いて水のにごりとCODの関連性を把握することとした。


② 子供環境研究発表会15年のあゆみ

福島工業高等専門学校 建設環境工学科
原田正光

   いわき地域環境科学会は1988年5月に創立され、いわき地域の環境に関する情報交換や意見発表の場を提供し、会員相互の学識の向上を図るとともに、地域の環境の質の向上に寄与することを目的として産・官・学・民からの会員が集まり活動を行っている組織である。
   講演会や講座、自然観察会の開催、研究発表会の開催、会報や会誌の発行等、いわき地域の環境情報の収集や啓蒙などの実践的な諸活動を行なってきた。
   創立当初は勉強会中心の活動であったが、これらを続けていく間に地域の環境情報を地域に還元することで環境の質向上につなげていこうとする動きがでてきた。この動きは、子供たちの環境学習を支援する活動につながり、小中学校における環境教育に深く関わることになり、現在に至っている。これら活動の中で、大きな位置を占めるのは1996年から毎年開催し2010年で15回目を迎えた「子供環境研究発表会」である。
   子供環境研究発表会の15年を振り返り、その成果とともに今後の関わり方について報告する。


③ 平成22年度野口英世賞最優秀論文
   「トクサ類はどうして生えることが出来るのか」
           〜 中央空気孔と周囲空気孔の役割解明


久之浜中学校
佐川睦実

   3年前、久之浜公民館活動の 「秋の土湯散策」 で男沼に行く機会がありました。このとき、4億年の昔から 「トクサ類」 が現れ、今に至っていることを知りました。そして、文献には、トクサ類の茎には空気孔があるのは、水中の地下茎に空気を送っているためと書かれていました。ところが、中心にある空気孔と表皮近くの空気孔の役割については、どの文献にも書かれていませんでした。
   私は、この2つの空気孔の違いに興味を持ち、自分なりの実験方法を考えて、空気孔のしくみと役割を研究しました。

   
   発表時には、聴講者に分かりやすく模型を用意して説明。〔写真左〕
   指導にあたった元小学校校長の吉岡先生も発表をサポート。
   実物のトクサを持参し、聴講者に披露。〔写真右〕





「残したい!地域の自然景観コンテスト2010」 表彰式 ・ 優秀景観の紹介

本コンテストは、いわき市内の自然景観から 「将来にわたってずっと残したい」 という場所を2010年度分として募集した中から、“優秀景観” として選ばれた10点について表彰するものでした。
今回で4回目でしたが、応募数が少なく、優秀景観は5景を選定して表彰と紹介を行ないました。

選ばれた景観と受賞者、そして受賞者からのコメントは次のとおりです。(優秀景観の入賞写真は別途公表します)

● 渡辺町松小屋 鎮守の森  (石森 文夫 さん)
   皆さんの近くに鎮守の森はありますか。
   僕が小さい頃は、お願い事も、友達との遊びも、みんな中心に杜があったように思います。
   そして、何か畏敬(いけい)の気持ちを持って見ていたようです。
   開発で鳥居と杜だけのところ、こどもに係る犯罪などで身近であったものが荒れたりしています。
   僕らのこころのふるさとであった場所を、ぜひ残し、守りたいものです。

● 三崎公園前 浅海域(せんかいいき)  (秋元 義正 さん)
   海には様々な表情があり、通常は海水に隠れて見ることができません。しかし、干潮帯海域で干潮時に自然がつくり出す、磯や海藻、水路、岩礁の散在などと透明な海水などによって形成される海の美しい景観が三崎公園の潮見台の眼下に形成されます。その自然が形成される浅海域は、散在する岩礁が保全され、それに繁殖する数多い海藻や附着生物、さらに岩礁域に生息する数多くの生物によって、海水の透明な美しさはつくり出され生態系も保全されています。
   このような浅海域における生態系が保全されることで、美しい景観が形成されており、この美しい景観が保全されることで、我々の昔からの食料である魚類の幼稚魚の発育やいわきの名産であるウニ、アワビ、若布(ワカメ)、天草(デングサ)などが繁殖可能となる海域として保全されることから、いわきの市民の方にいわきの将来の漁業持続のためにも浅海域の保全に関心を持っていただき、海の自然環境破壊を防止するため、景観を通して海に関心を持ち、考えて頂ければ、本当に幸いです。
   結論的には浅海域の景観保全は、魚類の幼稚魚保育海域の保全につながり、更に、沿岸漁業の魚類資源保全に繋がることになります。


● 遠野町滝 鮫川の奇岩
 (大平 恭二 さん)
   貝泊中学校の環境講座に使う鮫川の代表的な河川水の採水をするために訪れました。
   澄んだ水の青さと川面から列をなして突き出した白っぽい奇岩は、珍しいだけでなく美しく、いわき市の隠れた名所ではないでしょうか。
   こんな場所で芋煮会などをしたら、さぞ気持ちいいだろうなぁ…と思います。もちろん、ゴミは持ち帰り、くれぐれも川や河畔を汚すことのないように


● 赤井 貉(むじな)橋からの田園風景  (村上  繁 さん)
  貉橋から茨原川上流部を眺めた時の広々とした田園と遠景の山並みが美しい。
   四季の味わいあり。


● 上好間 蛇岸淵
(じゃがんぶち)  (村上  繁 さん)
  この渕には、昔、大蛇が住んでいたとの伝説のある場所で、水の流れも美しく、遠方にはV字谷も見えます。


 優秀景観について熱い想いを語る石森さん
   
同じく入賞した景観への思いを語る村上さん



設定テーマ 「地域環境の保全活動」 
(発表者敬称略)
① 永崎海岸浄化プロジェクトの概要

いわき地域環境科学会
中西恒雄

   いわき地域環境科学会では、20年以上にわたっていわき地域の自然環境保全に取り組んでいる。
   かつては白砂青松の美しかった海岸が、近年所々黒く汚れている。
   永崎海岸においては、これまで続けてきた「マリンブルー21」の調査が打ち切られたが、当会として引き続き調査を継続したいという思いから、日本財団の助成事業として2009年度から2年にわたり実施してきた以下の概要について報告する。
   1) 永崎海岸のごみ分別調査
   2) 天神前川と大平川の水質調査
   3) 永崎海岸の砂の汚れ調査(簡易法)
   4) 永崎海岸の砂の汚れ調査(機器分析法)
   5) 永崎小学校への環境学習支援

※  関連データ  → http://www.essid.org/nagasaki-project.html


② 水永崎海岸の砂の汚れ調査活動

福島工業高等専門学校 建設環境工学科
掛田真之 ・ 原田正光

   いわき市は、海岸線約66kmにもおよぶ長い砂浜にいわき七浜と呼ばれる10ヶ所の海水浴場を有しており、貴重な観光資源となっている。しかしながら、近年、こうした砂浜の所々が黒く汚れてきて、白く美しい鳴き砂のある砂浜が減少傾向にある。このため、以前のような美しい砂浜を取り戻す活動が求められている。
   いわき地域環境科学会では、2009年度から永崎海岸浄化プロジェクトとして、砂浜の汚れの現状調査や砂浜への流入河川の調査を行い、砂浜の浄化を目標にした活動を行っている。
この中で、砂の汚れ調査を秋季と冬季に行い、砂の柱状サンプリングによる深さ方向の汚れ分析や流入河川からの距離の違いによる汚れ分析を行ってきた。
   春季および夏季のデータを得ること、調査地点を河川の両側に拡大してデータを得ることを目的として、同様の手法を用いて実施した2010年度の砂の汚れ調査結果を報告する。



③ いわき海岸の鳴き砂の現状

いわき鳴き砂を守る会
佐藤孝平

   本会は、いわき海岸の鳴き砂の保全を目標に平成7年4月に発足した市民団体で、これまでに、鳴き砂の実態調査、豊間地区等の海岸清掃活動等を行なってきた。平成16年(2004年)には、いわきにおいて「全国鳴き砂サミット in いわき」を開催し、国内20箇所に及ぶ鳴き砂海岸を持つ団体と交流を持つと同時に、いわき海岸の鳴き砂を直接全国に発信するきっかけにもなった。
   平成9年〜13年までは、いわき経営推進懇話会(鳴き砂専門部会)が、いわき地区の18海岸において鳴き砂の実態調査を実施してきた。その後、継続的な調査が行われていなかったが、平成13年度以降の鳴き砂の実態を把握するため、今年度、過去に砂を採取した地点と同じ場所において、鳴き砂の実態調査を実施した。現在結果のとりまとめ中であるが、その中間報告をする。


④ 夏井川流域での活動  〜 水との旅,他

夏井川流域住民による川づくり連絡会
田中博文

   夏井川は、福島県内の2級河川の中で最も大きな流域面積(約749平方キロメートル)を持ち、田村市滝根に源流があり、小野町を流れる右支夏井川を併せ、いわき市を流下し太平洋に注いでいる延長67,087メートルの河川である。
   「夏井川流域住民による川づくり連絡会」では、上下流の交流、地区懇談会の開催、夏井川沿いのサイクリング等の事業を実施してきた。4年前には、流域一体となった活動を展開しようと上流域の「夏井川上流域連絡協議会」と共に呼びかけ団体となり「夏井川流域の会」を立ち上げ、流域全体を視野に入れた活動にも力を注いでいる。
   昨年度は、「夏井川水系新川の水質の特徴の検討」と題して、阿部孝男が活動の紹介をさせていただいた。今回は、その他の活動として「夏井川流域の会」で実践してきた内容を主として紹介する。



⑤ 環境学習支援の事例  〜 せせらぎスクール(拡大版)

NPO法人いわき環境研究室
大平恭二

   NPO法人いわき環境研究室は、当会の有志を募って3年前に発足したNPOである。平日でも活動できるフットワークの良さを活用して、政策提言や様々な環境啓発事業を展開している。
   今回は本設定テーマに沿って、市内の小中学校や地域団体向けに実践している環境教育学習支援の中から 「せせらぎスクール(拡大版)」 を通して、教育的事業を地域環境の保全に結びつける方法と意義を報告する。

せせらぎスクールとは  →  http://www.pref.fukushima.jp/kance/kikaku/work/seseragischool.html

NPO法人いわき環境研究室の公式サイト  →  http://www4.ocn.ne.jp/~iwaki-kk/



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